本学会では,学術総会以外にも会員個人・団体はもちろん,これからBSCを導入しようと考えている医療機関の方々を対象として,随時,フォーラム,ワークショップ,基礎理論講座等のイベントを開催しており,正しいBSCの導入・活用方法を理解して,より多くの医療機関で戦略的経営管理にBSCを役立てていただけるよう啓蒙・支援活動を行なっています。
(1) BSCフォーラムこのフォーラムは、本学会の設立当初から,BSCの普及と導入の促進を図るために,全国で毎年数回行なってきました。さらに2010年からは,BSCを広めるという趣旨だけでなく,すでにBSCを導入している医療機関の方々の実践に役立つような内容を主眼にしたフォーラムも年1回行うことにしています。例えば,「BSC導入の障害とその克服」,「BSCを病院全体から部門へのカスケードする際の課題と解決」等,実際にBSCを運用し始めたときに直面する問題の解決,上手に活用している病院・施設の導入事例等,実践の場で活用できるものをテーマとして開催しています。
(2) ワークショップ
ワークショップには大きく2つの目的があります。第1は,これからBSCを導入しようとする医療機関のトップマネジメントや導入責任者などの方々に導入プロセスを学んでいただくことです(BSC導入ワークショップ)。第2は,すでにBSCを導入している病院の新人職員,あるいはBSC経験者の方々のブラッシュアップのために用意しています。
その内容は,2日間で導入プロセスと運用のポイントを学べるように,BSCの基本概念(講義),SWOT分析(実習),クロス分析(実習),2次元展開法(実習),戦略テーマの抽出(実習),戦略マップ作成(実習),スコアカード作成(実習),BSCの運用(講義)を順に経験していただきます。
少人数制で,経験豊富な学会認定の指導者(ファシリテータ)が専属でついて指導しますので,2日間じっくり自分の病院や施設を振り返り,多職種間で協議をして戦略を立案していくという充実感の得られるワークショップとなっています。
初めてBSCを導入する時には,多くの医療機関の方々はBSCを勉強しようと努力しているのですが,一度導入してしまうと,継続してBSCを勉強しようとする意識が希薄になってくることが経験的に分かっています。これはBSCの導入に中心的役割を果たした方々にも同様の傾向があります。また,BSCの勉強も系統的ではなく,Kaplanらの正統的な考え方から外れた簡単なhow toものの書籍や講演などから学ぶことが多いことも分かってきました。そこで,本学会では1日あるいは半日程度で,正統派のBSCの基礎理論を学ぶ講座を設置しています。したがってこの講座は,これからBSCを導入するために勉強しようとしている方々はもちろん,すでにBSC導入している医療機関の方々にも,知識の確認や最新情報の入手などに役立つものと考えています。
フォーラム/ワークショップ/基礎理論講座の開催については,学会ニューズレターおよびこのホームページで適時お知らせいたします。